環境に優しい電着塗装、その理由を解説

みなさんは環境保全健康維持に関心はありますでしょうか。
近年、地球温暖化や大気汚染への懸念が強まっており、環境保全に取り組みが多くなっております。私たち製造業でも環境保全の取り組みを行っています。
さらには、従業員の健康を維持する取り組みも積極的に行われています。
今回は電着塗装がどのように環境や体に優しいのか説明させていただきます。

そもそも電着塗装とは

電着塗装とは、水溶性塗料のプールの中に被塗物を浸漬させ、直流電流を流すことで被塗物に塗膜を形成させる塗装方法となります。被塗物と水溶性塗料をそれぞれ陽極か陰極に設定し、電気を流すことで陽極の+イオンの粒子が陰極に移動します。これを電気泳動と呼びます。+イオンが陰極に移動し、被塗物に付着することで塗膜が形成されます。主に自動車のボディの下地塗装では電着塗装が行われています。

では、なぜ電着塗装が環境に優しいのか説明させていただきます。
理由は主に2つ挙げることができます。

理由① 水溶性塗料

電着塗装では水溶性塗料が用いられます。
その成分が有機溶剤をほとんど含まないため、火災の危険も低く、大気を汚しません。
有機溶剤は、様々なものを溶かす性質を持つ有機化合物の総称です。有機溶剤は油性塗料に多く含まれており、身近な例としてシンナーやエタノールを挙げることができます。
有機溶剤の性質として、①揮発性が高い②特有の刺激臭がある③毒性を有する、の3点が挙げられます。(電着塗装において、)有機溶剤が多く含まれている油性塗料を使用すると揮発性が高いため、有機溶剤が気化してしまいます。
気化することで気体となり、空気中に環境や人体に有害な物質が浮遊している状態となります。有害な物質は大気汚染の要因ともなり、体の皮膚や呼吸から体内に入ることで、頭痛、視力低下などの症状や神経系疾患の原因ともなります。
製造業界ではVOC(=揮発性有機化合物)の発生が規制されています。以前は塗料の中にこの成分が多く含まれており、大気汚染の主要な原因となっていました。水溶性塗料の開発が進み、現在では有機溶剤がほとんど含まれない水性塗料が主流です。

理由② 電着塗料回収UFシステム

UFとは、ろ過する際に使用する膜の一つであり、「Ultra‐Filtration(限外ろ過)」の略称です。
電着塗料回収UFシステムとは、限外ろ過膜(UltraFiltration を活用した電着塗装ラインの付帯設備として、不可欠なものです。
このUFシステムは水洗槽の中で混ざった塗料と水を分離させるシステムになります。
電着工程後の水洗工程時に被塗物に付着した塗料が水洗プールに混ざります。塗料と水が混ざるため、このシステムにより塗料と水を分離させます。分離させた塗料は電着塗料槽に戻り、水は水洗槽に戻ります。よって塗料として再利用でき、水も水洗水として再利用します。
こうすることによって、塗装工程で排出される汚水の量をUFシステムが無い場合と比べると10分の1程までに削減することができます。また、この汚水は少ないながらも塗料を含んでいるので水質汚濁のリスクを下げることが可能です。

最後に

以前は、工場と言えば環境負荷の高いガスを排出しているイメージが強かったと思います。塗装も大気汚染要因の一つでしたが、現在では環境負荷の低い塗料の開発や塗装システムも開発されています。電着塗装においては、環境負荷の低い塗料が使用されることが多く、環境保全の課題解決に寄与しはじめています。
タマ化工株式会社では、カチオン電着塗装の表面処理を行っております。水溶性の塗料を採用し、環境と従業員の健康に寄与しております。表面処理のお困りの場合は、タマ化工にお気軽にご相談ください。

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