意外と知らない?脱脂工程の重要性

脱脂とは

脱脂とは金属などに付いた小さなゴミや油汚れを取り除く行為です。わかりやすく私たちの暮らしにたとえると、携帯に保護フィルムを貼る際や車のコーティングの前に、布巾や専用のクリーナーで汚れを取るかと思います。この前工程と同様に、脱脂はきちんとした塗装、めっき加工には必要な過程です。ここでいう油は主に「動物性油脂」「鉱物性油脂」があります。

脱脂工程の重要性

めっきや塗装を行う上で最重要視されているのがこの脱脂工程になります。めっきや塗装は表面へ均一に被膜をつける作業です。ムラを出さずに高い密着性を持って仕上げるためにも脱脂は非常に重要な工程で完成度の7割はこの脱脂工程で決まるとも言われています。
通常、金属加工には様々な油が使われます。機械全般の作動を潤骨にするために使われる機械作動油、長期的な防錆能力を高めるための防錆油などです。加工工程で使われる油は各種の表面処理を実施する際に処理の妨害に繋がります。
具体的には処理後のめっきが剥がれたり、光沢ムラが発生する可能性があります。

これらの問題を防ぐためにも脱脂工程はめっき工程において最重要項目であると言われています。

脱脂工程の種類

脱脂工程は大きく物理的方法化学的方法の二つから構成されます。
物理的方法は金属表面から異物である油脂や汚れなどを直接的に除去する方法です。
一方、化学的方法は金属表面の油脂、汚れを乳化・溶解させて化学反応を用いて処理する方法となります。

今回は当社で扱う脱脂方法と主流の脱脂方法を解説します。

溶剤脱脂

溶剤脱脂は金属表面の油脂分を溶剤に溶かすことで脱脂洗浄する方法です。多く付着した油脂分を除去することは可能ですが完全に除去できるわけではありません。
扱われる溶剤は製品の材質や皮脂などを考慮して選ばれます。しかしデメリットとして環境への悪影響が挙げられます。具体的には環境破壊の原因や水質汚濁法上の有害物質となっており毒性もあります。近年では上記のアルカリ脱脂に代替利用が多くなってきました。

アルカリ脱脂

アルカリ脱脂には二種類の方法があります。アルカリ性の水溶液に浸漬させて行う浸漬脱脂法と、電流を流し、アルカリ水溶液を電気分解することで、脱脂洗浄を行う電解脱脂です。

アルカリ浸漬脱脂

アルカリ浸漬脱脂はアルカリ性の水溶液に浸漬することで脱脂洗浄する方法です。主に様々な種類の油脂分を強力に脱脂できることが可能のため近年最も多く採用されています。アルカリと油脂とが結合し、水溶性の石鹸となることで脱脂が可能となります。

アルカリ電解脱脂

アルカリ電解脱脂は製品を陰極か陽極として電気を流し、扱っている水溶液を電気分解することで脱脂する方法です。この水溶液は浸漬脱脂で扱ったものと大差はありません。電気分解により対象物から水素ガスや酸素ガスが発生します。これらのガスは非常に小さな穴や、割れに入りこむため油脂の繊細な除去が可能になります。
この強力かつ繊細な脱脂力が特徴となります。しかし電気を使うデメリットとしてパイプ内部等、電気が行き届かない、難しいものは脱脂ができない点が挙げられます。

まとめ

めっき加工には油や汚れを落とす前処理が必要不可欠です。今回は脱脂工程の必要性と主流となっているアルカリ脱脂や溶剤脱脂について解説させていただきました。
東栄コーティング株式会社では本記事に挙げた「アルカリ脱脂」を主に扱い、お客様のご要望に大手自動車メーカーの高い品質でお応えしています。東栄コーティングでは「電気亜鉛めっき」を主な事業として行っているようですが、脱脂工程のみの対応しているようです。表面処理でお困りのことがございましたら、お問合せしてみてはいかがでしょうか。

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