表面処理の「化成処理」とは?代表的な手法を詳しく解説

みなさん、化成処理についてはご存じでしょうか。 初めて聞いた方も多いのではないかと思います。

実は化成処理は表面処理において非常に重要な工程となります。今回は化成処理についての説明とその種類を紹介させていただきます。

化成処理とは

化成処理とは、金属などの被処理物に化学反応を利用して、被処理物の素材の性質とは異なる性質の皮膜を形成する処理のことです。化学薬品が含まれた液体のなかに被処理物を浸漬させることで被処理物の表面で化学反応が起きます。

なぜ化成処理を行うのか

被処理物表面に化学反応を起こし表面の状態を他の性質に変化させることで、防錆能力(ぼうせいのうりょく)を向上させることができます。防錆能力とは、金属などが錆びるのを防ぐ性能です。また化成処理は塗料の密着性を高めたり、元来の被処理物に足りなかった性質を与えることができます。塗装の下地処理や表面の着色のためにも化成処理が施されます。被処理物が元来持たない性能を付与することで、製品の高機能化に大きく寄与します。

化成処理の種類について

いくつかの代表的な種類を紹介させていただきます。

リン酸塩処理

リン酸塩処理とは、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸鉄やリン酸カルシウムなどが含まれた液体に被処理物を浸漬させ、リン酸塩皮膜を形成する処理となります。 この処理は主に鉄の素材の際に用いられますが、幅広い素材に用いられます。 特徴として皮膜の表面に凹凸ができます。液体が凹凸に入り込むによって密着性がアップするアンカー効果によって塗膜やめっきの密着性が上がります。そして皮膜自体にも防錆能力があります。

クロメート処理

クロメート処理とは、被処理物をクロメート処理液に浸漬させることで、クロメート皮膜を形成する処理となります。 主に亜鉛めっきの仕上げの際に用いられます。 特徴として、皮膜が自己修復力を持っているため、防錆能力が優れています。また、色味を調整することができるため、ゴールドや緑など見た目が豊富です。

ジンケート処理

ジンケート処理とは、アルミニウム合金にめっきを施す前に用いられます。 アルミニウム合金は大気中の酸素によって酸化被膜を形成する性質があり、この皮膜はめっきの密着性を悪くします。なので、ジンケート処理はアルミニウム合金をジンケート(亜塩酸塩)を使った液体に浸漬させ、酸化被膜を溶かし、代わりに亜鉛皮膜形成させます。亜鉛皮膜に替えることで密着性の高いめっきを施すことができます。

黒染め処理

黒染め処理とは、アルカリ水溶液に処理物を浸漬し、化学反応を起こすことで処理物表面に黒色の四三酸化鉄皮膜を形成する処理のことです。 四三酸化皮膜は、酸素:鉄= 4:3 の酸化被膜のことです。 黒染め処理には①処理のコストが低い、②防錆能力がある、③光沢のある黒色の着色ができる、④皮膜が薄いので寸法公差がでない、といった特徴ががあります。

まとめ

いかがだったでしょうか。 化成処理は表面処理において重要な工程です。化成処理を行うことでそのあとの塗膜やめっきの密着性が良く、製品の出来にも左右します。 タマ化工株式会社では、カチオン電着塗装の表面処理を行っております。化成処理ではリン酸亜鉛皮膜を形成させ、塗膜の密着性と防錆能力の向上に努めております。高品質かつ低コストでの加工を実現し、厳しい自動車業界の品質基準もクリアしております。表面処理でお困りごとがございましたら、ぜひご相談ください。

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