VCTFKは、家電などの日用品のコンセントなどに幅広く使用されている電線です。 本記事では、VCTFKの特徴や構造・用途など基本的な情報をまとめました。
目次
VCTFKの名前の由来
VCTFKの正式名称は「ビニル絶縁ビニルキャブタイヤ長円形コード」です。これはそのまま、「ビニル素材を使った長円形のキャブタイヤコード」という意味です。 「キャブタイヤ」は、「辻馬車(=キャブ)の車輪(=タイヤ)のゴムのように丈夫な被膜」を持つことに由来しています。 では、そもそもなぜ「VCTFK」と呼ばれているのでしょうか。アルファベットの意味を知ることで、丸暗記ではなく構造的に記憶することができます。
「ケーブル」と「コード」
アルファベットの説明の前に一点、用語の使い分けとして、「コード」と「ケーブル」の違いがあります。 「ケーブル」は原則として二重の被膜で覆われた構造を持ち、主に固定配線として使用します。一方、「コード」は簡易的な構造で、移動用の電線として使用します。
※ややこしいことに、上記の定義には例外もあります。例えば、今回ご紹介するVCTFKは構造的には『ケーブル』ですが、主に移動用電線として使用するため『コード』と呼ばれています。
「VCTFK」のアルファベットの対応表
上記の内容も踏まえて、VCTFKの名前の由来は下記の表のようになっています。※VCTFKは、構造的には二重の被膜を持つのですが、固定せずに移動用の小電力機器の電源線として使用されることが多いため、「コード」に分類されます。
V | 塩化ビニル |
CT | キャブタイヤ |
F | コード (「ケーブル」ではない) |
K | 長円形 (「小判」の「K」) |
電線とVCTFKの構造
電線の構造
電線は主に、電気を通す「導線」、電気を通さず導線からの感電を防ぐ「絶縁体」、導線や絶縁体が傷つかないように保護する「シース」の3つから構成されます。 また、シース内の絶縁体に覆われた導線の数を「芯数」といいます。 例えば、様々な規模の建物や屋外で電力用ケーブルとして使用される「CVケーブル」は、絶縁体といて架橋ポリエチレン、シースとしてビニルが使用されています。 今回ご紹介するVCTFKも、数ある電線のうちの1つです。
VCTFKの構造
VCTFKの構造は下記の断面図および表のとおりです。
別図
導線:灰色 絶縁体:オレンジ色 シース:青色
心数 | 2芯 |
絶縁体 | 塩化ビニル |
シース | 塩化ビニル |
材料や構造、加工方法などについての詳細はJIS規格で定められています。 具体的には、下の表のように導線の太さや電線の外径、絶縁体およびシースの厚さなどについて詳細に規定されています。
導体 | 絶縁体 | シース | ||||
種類 | 線心数 | 公称断面積(㎟) | 構成 素線数/素線径(㎜) |
外径(㎜) | 厚さ(㎜) | 厚さ(㎜) |
ビニルキャブタイヤ2心長円形コード
|
2心
|
0.75 | 30/0.18 67/0.12 |
1.1 | 0.6 | 1.0 |
1.25 | 50/0.18 112/0.12 |
1.5 | 0.6 | 1.0 | ||
2 | 37/0.26 | 1.8 | 0.6 | 1.0 |
VCTFKの用途
固定配線を使用しない機器の電源コードなどに幅広く使用されています。 具体的には、電気洗濯機・電気掃除機・電気カーペットなどの家庭用・業務用電気器具のプラグ付き電源コードや延長コード等が挙げられます。
VCTFKを使用する際の注意点(定格電圧について)
VCTFKの定格電圧は交流300Vまでなので使用する際は注意が必要です。定格電圧を超えてしまうと発熱・発火などのリスクがあり大変危険ですので、使用前に必ず確認しましょう。 300V以上の電圧をかける場合はVCT(ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル)などの別の電線を利用する必要があります。
まとめ
今回の内容をまとめると、 VCTFKは、 「ビニル素材の被膜の長円形の丈夫なコード」として「ビニル素材の絶縁体とシースを持つ2芯の電線」であり、汎用電線として様々な機器のコンセントや延長コードとして使われているものになります。利用の際には定格電圧に注意が必要となっております。
今後も各種電線に関して役立つ豆知識を盛り込んだコンテンツを作成してまいりますので、是非ご覧ください!