ブリードアウト現象とプラスチック製品への影響について

ブリードアウト現象とは

ブリードアウト現象とは、プラスチックフィルム・シートに練りこまれた添加剤(酸化防止剤や帯電防止剤など)が時間の経過によりフィルムの表面に浮き出てくる現象のことです。 この現象は、プラスチックフィルム・シートを使った製品や原反(製品にする前の状態)を長期間保存することで発生します。 尚、添加剤の有無は素材によって変わり、例えばPE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)などに含まれています。

なぜ時間が経つとブリードアウト現象が起きるのか

ブリードアウト現象は、時間が経過することで発生すると前述しましたが、 時間の経過とともに何が起こっているのでしょうか。 それは相分離です。 イメージしやすい例として、サラダドレッシングが挙げられます。 サラダドレッシングは主に油と水で構成されており、ボトルを振るとそれらが混ざり、サラダドレッシングとなります。しかし、時間を置くと再び油と水に分離していきます。 このように、製造当初は単一素材のプラスチックも、時間を置くと相分離し、添加剤が目に見える形に現れるのです。

 

ブリードアウト現象がもたらす影響

では、ブリードアウト現象はどのような影響を及ぼすのでしょうか。 ブリードアウト現象が与えうる影響は以下のメリットとデメリットがあります。

ブリードアウト現象が与えるメリット

ブリードアウト現象が与えるメリットは、添加剤の効果を強くすることです。 プラスチックは静電気を帯びやすい素材のため、埃が付着したり、プラスチック同士がくっついたりしないために、帯電防止剤が含まれています。 そして、帯電防止剤がブリードアウト現象により浮き上がることによって、その効果を発揮します。

 

ブリードアウト現象による弊害・デメリット

それでは反対に、ブリードアウト現象はどのような悪影響を及ぼすのでしょうか。 ブリードアウト現象が与えうる悪影響は4点あります。

フィルム・シートの白濁

1点目はフィルム・シート表面の白濁です。 添加剤が表面に浮かび上がり、それが結晶になることで、フィルム・シートの表面が白く濁ってしまします。

印刷ができなくなる

2点目は印刷ができなくなることです。 添加剤は分かりやすく言うと油ですので、油が表面に付着しているプラスチックに印刷をすることが難しくなってしまいます。

粘着力の低下

3点目は粘着力の低下です。 原理は2点目と同じです。 例えば、糊付けされたクリアケースを長期保存していると、接着部分がはがれることに繋がります。

製品への付着

4点目は製品への添加剤の付着です。 例えば、プラスチック素材のケースで、食品などの商品を包装している場合、 ブリードアウトした添加剤が商品に付着してしまい、不具合が生じたり、クレームに繋がったりしてしまいます。 また、精密な製品については、フィルム・ケースと製品の擦れにより、添加剤が擦り付けられ、製品に細かいキズが発生してしまうこともあります。

各影響への対策について

上記のようなことを防ぐためには、どのようにすれば良いのでしょうか。 講じられる対策は1つです。 それは、添加剤を含まない素材を使用することです。

プラスチックに含ませる添加剤の量は、科学的に決められていますが、 それぞれの個体差があるためどうしてもブリードアウト現象は発生してしまいます なので、ブリードアウト現象を防ぐためには添加剤を含まない素材を使用する必要があります。 プラスチックフィルムの場合、無添加PE(ポリエチレン)というものがあり、通常のポリエチレンと比べて高価にはなりますが、添加剤を含みません。 また、クリアケースの場合、PET(ペット)は添加剤を含みませんので、ブリードアウト現象は発生しません。

 

最後に

ブリードアウト現象についてご理解いただけましたでしょうか。 プラスチック製品を使う上で一度は耳にするブリードアウト現象について知っていただける機会になれば幸いです。株式会社開伸では、環境に配慮した再生A-PETシートを使用して、透明クリアケースを製造・販売しております。開伸の透明クリアケースは、自社開発の独自技術や特許技術を用いて、高透明かつ傷がつきにくい高品質パッケージを取り扱っています。また、サンプル作成は各営業担当が行いますので、お客様のご要望に沿ったご提案が可能です。「こんなイメージで…」や「これまでの…を改善したい」といったご相談に真摯に向き合います。

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