VCTFは、工場や電気機器、ロボットの配線などに幅広く使用されている電線です。 本記事では、VCTFの特徴や構造・用途など基本的な情報をまとめてみました。
目次
VCTFの名前の由来
VCTFの正式名称は「ビニル絶縁ビニルキャブタイヤ丸形コード」です。 これはそのまま、「ビニル素材を使った丸形のキャブタイヤコード」という意味です。 「キャブタイヤ」は「丈夫なゴムの被膜」を持つことを意味します。 また、それぞれの意味は以下のようになっています。
V | 塩化ビニル |
CT | キャブタイヤ |
F | コード (「ケーブル」ではない) |
K | 長円形 (「小判」の「K」) |
電線とVCTFの構造
電線の構造
電線は主に、電気を通す「導線」、電気を通さず導線からの感電を防ぐ「絶縁体」、導線や絶縁体が傷つかないように保護する「シース」の3つから構成されます。 また、シース内の絶縁体に覆われた導線の数を「芯数」といいます。 例えば、様々な規模の建物や屋外で電力用ケーブルとして使用される「CVケーブル」は、絶縁体といて架橋ポリエチレン、シースとしてビニルが使用されています。 今回ご紹介するVCTFも、数ある電線のうちの1つです。
VCTFの構造
VCTFの構造は下記の断面図および表のとおりです。
導線:灰色 絶縁体:オレンジ色 シース:青色
材料や構造、加工方法などについての詳細はJIS規格で定められています。 具体的には、下の表のように導線の太さや電線の外径、絶縁体およびシースの厚さなどについて詳細に規定されています。
導体 | 絶縁体 | シース | ||||
種類 | 線心数 | 公称断面積(㎟) | 構成 素線数/素線径(㎜) |
外径(㎜) | 厚さ(㎜) | 厚さ(㎜) |
ビニルキャブタイヤ2心長円形コード
|
2心
|
0.75 | 30/0.18 67/0.12 |
1.1 | 0.6 | 1.0 |
1.25 | 50/0.18 112/0.12 |
1.5 | 0.6 | 1.0 | ||
2 | 37/0.26 | 1.8 | 0.6 | 1.0 |
VCTFの用途
名前の通りVCTFは、「被膜にビニル素材を用いた長円形の丈夫なコード」です。「コード」ですので、通電状態のまま移動させて使用することができます。 また、柔軟性・耐水性・耐熱性・加工性に優れています。固定配線を使用しない機器の電源コードなどに幅広く使用されています。
具体的には、電気洗濯機・電気掃除機・電気カーペットなどの家庭用・業務用電気器具のプラグ付き電源コードや延長コード等が挙げられます。
VCTFを使用する際の注意点
VCTFKの定格電圧は交流300Vまでなので使用する際は注意が必要です。定格電圧を超えてしまうと発熱・発火などのリスクがあり大変危険ですので、使用前に必ず確認しましょう。 300V以上の電圧をかける場合はVCT(ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル)などの別の電線を利用する必要があります。
VCTFについてのまとめ
今回の内容をまとめると、 VCTFは、 ・ビニル素材の被膜の長円形の丈夫なコード ・ビニル素材の絶縁体とシースを持つ、2芯の電線 ・汎用電線として様々な機器のコンセントや延長コードとして使われている ・定格電圧に注意が必要 でした。 今後も各種電線に関して役立つ豆知識を盛り込んだコンテンツを作成してまいりますので、是非ご覧ください。