クロメート処理とは?クロメート処理の目的・種類について

クロメート処理とは

クロメート処理とは亜鉛でめっきを施した製品に耐食性被膜を作る処理のことを言います。
通常亜鉛めっきは鉄に対して比較的安価に防錆能力を付与することができます。しかし亜鉛のみだと大気中にある湿気や汚れから白錆が発生してしまいます。そのため亜鉛めっき処理を施した後に「クロメート処理」を施す必要がでてきます。
クロメート処理を施すことで、亜鉛皮膜とクロメート皮膜の2つの膜で、素材である鉄を腐食から守ります。またクロメートによる酸化被膜には自己修復作用があり、たとえ酸化被膜表面が傷ついたとしても、酸化被膜内の水溶性のクロムが溶け出し自らの皮膜を修復します。

クロメート処理が電気亜鉛めっきに必要な理由

電気亜鉛めっきにはクロメート処理が必要です。その理由は溶融亜鉛めっきと呼ばれる加工方法に比べ電気亜鉛めっきの膜厚が薄いためです。溶融亜鉛めっきは電気亜鉛めっきに比べ膜厚が厚いため防錆能力が高いです。一方電気亜鉛めっきは膜厚が薄いため電気亜鉛めっき加工のみだと防錆能力が弱いことがあります。
よってクロメート処理には白錆や腐食から守る防錆能力の強化+電気亜鉛めっきの弱みでもある膜厚の「薄さ」を補填しめっきを強化する役割があります。

クロメート処理の種類(「三価クロム処理」と「六価クロム処理」)

クロメート処理には大きく2つの種類があります。それが「三価クロム処理」と「六価クロム処理」です。今回は環境負担、色調、耐食性、コストなどの特徴を比較しつつ説明していきます。

三価クロムとは

三価クロムとはクロムの化合物のうち、酸化数が3の化合物です。毒性はなく人体必須栄養素の一つでもあり、有害性はありません。一般的に三価クロメートと呼ばれます。

三価クロム処理には有害性がない

三価クロムと六価クロムとの性質の違いで一番重要な部分ともいえるのが「有害性の有無」です。結論三価クロムは毒性を持ちません。三価クロムは人間の必須ミネラルのうちの1つで、欠乏すると糖尿病になる危険性もあるとされている成分になっています。自然界の土中に広く存在している物質であり、環境負担が小さいと言われています。

三価クロム処理の色調

色調も三価クロム処理における大きな特徴の1つです。主には「光沢」「有色」「黒色」「緑色」といったイメージになります。三価クロムの色調として光沢のあるシルバーや、黒色の色調が強くなります。

三価クロムの耐食性について

三価クロムの耐食性は六価クロムを上回るとされており、六価クロムに比べて耐食性は強いとされています。色調によって変わりますが、光沢色の場合だと塩水を噴霧してから白サビ発生までの時間が倍近く変わることもあります。

三価クロム処理のコスト

三価クロムのコストについてです。三価クロムは六価クロムに比べ高かったのですが、最近では差は無くなってきています。これにより六価クロメートから三価クロメートへの代替が進展しており、需要が多い色調・性能の三価クロメートでは、六価クロメートと同程度のコストとご認識いただいて問題ありません。

六価クロム

六価クロムとは、クロムの化合物のうち、酸化数が6の非常に酸化力の強い有害物質です。RoHSという有害な化学物質を禁止する指令に該当しますが、国内での使用が認められている成分になります。

六価クロムには有害性が含まれる

前述でも触れましたが六価クロムは「有害」です。
毒性があり、溶液に触れたり、非常に細かい粒子を含む蒸気を吸い込むことによって、皮膚炎や皮膚潰傷、吐き気、嘔吐、下痢が生じます。消化器系や呼吸器系への害もあることが分かっています。

六価クロム処理の色調

六価クロム処理の色調についてです。
六価クロムの色調は光沢、有色、緑色、黒色となっています。緑色などが存在し、六価クロムの方が色調のバリエーションが多くなっています。また、それぞれの色調も、六価クロメートの方が鮮やかだったり、光沢が強いといった特徴が挙げられます。

六価クロム処理の耐食性

六価クロムの耐食性は三価クロムと比較し同等かやや劣るとわかっています。こちらも色によって分かれていますが、外観の光沢は半減してしまいます。

六価クロム処理のコスト

六価クロムは三価クロムと比較し低コストになります。先程も記しましたが近年、六価クロムから三価クロムへの代替が進展したことで、三価クロムのコストは低下してきており、需要が多い色調・性能の三価クロムでは、六価クロムと同程度のコストとなっています。

まとめ

いかがでしょうか?クロメート処理は電気亜鉛めっきには必要な過程であり本来の目的であるめっきの耐食性を強化することに繋がります。
しかし環境問題に配慮し近年では、国際がん研究機関(IARC)や、世界保健機関(WHO)などは制限をかけています。
東栄コーティング株式会社では岐阜最大級の設備を活かし【自動回転バレル】【ハンガー式】【手動回転バレル】の三つの装置で電気亜鉛めっき加工を行います。また電気亜鉛めっきには必要なクロメート処理を三価クロムで行なっており環境、価格にも配慮しております。表面処理でお困りのことがございましたらぜひお問い合わせください。

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