プラスチックは、特性によって種類が分けられています。 (詳しくはこちらの記事をご覧ください。)
本記事は、下の図の中でも、熱可塑性樹脂のエンジニアプラスチック樹脂について、どのような自動車部品に使われているのかご説明します。
目次
自動車部品に使われるエンジニアプラスチック
本記事では、自動車部品に使われるプラスチックの中でも、特にエンジニアプラスチックに関してご紹介します。 エンジニアプラスチックは主に4種類あります。
①ポリカーボネート(PC)
ポリカーボネートは透明樹脂の中で耐衝撃性が最高クラスに優れており、普通のガラスの250倍の耐衝撃性を持ちます。その一方で、重量はガラスの半分という特徴があります。さらに、光線透過率は85~91%と、ガラスと同等の透明度がある採光材です。そのため、自動車のヘッドランプレンズやテールランプ、メーターパネルなどに使われています。また、窓材としても使われ始めています。
②ポリアミド(PA)(別名:ナイロン)
ポリアミドは、耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐疲労性、耐クリープ性*、強靭性に優れた材料です。その特徴から、エンジンルーム内への適用例が多く、インテークマニホールド、ロッカーカバー、燃料系部品フューエルインジェクターのボディに使われます。最近では、エンジンにより近い燃料部のスロットルチャンバー、インレット部品等の樹脂化が進みつつあります。また、エンジンルーム以外の部品では、アクセル・ブレーキのペダル、ドアハンドルに使用されます。
③ポリアセタール(POM)
ポリアセタールは、吸水性が小さく、寸法安定性に優れています。引っ張り強さ、弾性のほか、耐摩耗性、耐衝撃性に優れた材料です。自己潤滑性があり、特に金属との摩耗係数が小さいことが特徴です。耐摩耗性・寸法安定性を活かして、自動車の燃料ポンプ等に使用されるほか、精密な金属部品の代わりとして、電子・燃料装置用の部品、メーター部品に使用されています。
④ポリブチレンテレフタレート(PBT)
ポリブチレンテレフタレートは、熱安定性、耐候性、高絶縁性、耐有機溶剤・油・ガソリン性に優れています。電気絶縁性を活かして、電子精密部品に適している樹脂です。自動車の電装品であるドアハンドルバルブ、スイッチ、ワイヤーハーネスコネクタ、ワイパー部品、駆動部の部品に使われています。 耐クリープ性*:クリープが発生しにくい性質のこと。(クリープとは、プラスチックに一定の荷重を継続的にかけると、時間とともに変形が進んでいく現象のこと)
おわりに
自動車部品に使われるエンジニアプラスチック樹脂の種類について、ご理解いただけましたでしょうか? プラスチックの種類にはそれぞれ特性があり、その特性を生かした製品を作るうえでお役立ちできれば幸いです。
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