自動車部品に使われるスーパーエンジニアプラスチックの種類(射出成形向け)

はじめに(プラスチックの種類)

プラスチックは、特性によって種類が分けられています。
(詳しくはこちらの記事をご覧ください。)
本記事は、下の図の中でも、熱可塑性樹脂のスーパーエンジニアプラスチック(スーパーエンプラ)樹脂について、どのような自動車部品に使われているのかご説明します。

熱可塑性樹脂ースーパーエンプラ樹脂

スーパーエンプラ樹脂は大きく分けて8種類あります。

①熱可塑性ポリイミド(TPI)

一般のポリイミド樹脂(PI)は、熱硬化性樹脂で、優れた性能(耐熱性、高強度など)を持っています。その特性をそのままに、熱可塑性の性質を持ち、射出成形による高効率生産を可能にした樹脂が熱可塑性ポリイミド(TPI)です。ガラス転移温度250℃で、結晶性(融点388℃)があります。摺動特性*耐放射線性低吸水性耐薬品性難燃性を持ちます。また、400~420℃の温度内で溶融流動性を持ち、複雑な形状の製品も成形可能です。
自動車構造部材、摺動性を生かした自動車のATF(Automatic Transmission Fluid)部品(スラストワッシャー、シールリング、ブッシュ等)・軸受等に使用されます。

摺動特性*:摩擦係数が小さく、潤滑性があること。

②ポリエーテルイミド(PEI)

PEIは、透明性の樹脂で、融点は217℃、常用耐熱温度~170℃です。また、難燃性ですが、燃えた場合も発煙が少なく、有毒ガスを発しません。耐薬品性耐水性耐熱水性電気特性耐候性に優れ、機械特性が広範な温度帯域で安定しています。
ベアリングのリテーナーやスピードセンサ部品などの電装品、また高耐熱性が求められる照明ベゼルに使用されています。

③ポリフェニレンサルファイド(PPS)

PPSは、。融点が約280℃、連続使用温度が220℃程度で、高耐熱性高い機械特性濃硫酸以外の耐薬品性寸法安定性優れた電気絶縁性を持っています。
HVインバータ、パワーモジュール部品、エンジンルーム周辺など、耐熱性が求められる場所での使用が多く、近年、電装品は複数のセンサーを組み込んだモジュール化が進んでおり、部品の大型化によりPPSの使用量が増加しています。

④ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)

融点334℃、最高連続使用温度250℃、高耐熱性を備えていることで、引張特性疲労特性衝撃特性などにも優れ、濃硫酸濃硝酸飽和塩素水以外には浸食されない耐薬品性をもち、加えて耐放射線性もあり、電気絶縁性も高い材料です。しかし、短所として高価なことが挙げられ、場所によって違う性能の樹脂を使用するなど対応の仕方を考慮する必要があります。
自動車のアクチュエーター、ギア、ベアリング、ワッシャー、シール、クラッチング、エンジン部品等に使用されています。

⑤液晶性ポリマー(LCP)

LCPは耐熱性難燃性に優れ、その中でも低吸水性成形性に優れている樹脂です。ガラス繊維を混ぜ込んだGFRP*として、コネクタ、コネクタケース等の電装品に使用され、燃料タンク等への応用も期待されています。

GFRP*:ガラス繊維強化樹脂のこと。ガラス樹脂を、エポキシ樹脂・ポリエステル樹脂・フェノール樹脂・ビニルエステル樹脂等で固めている。比較的安価であるため、繊維強化樹脂の中で最も広く普及している。

⑥ポリフタールアミド(PPA)

PPAはポリアミド(PA)の一種であり、最低2種のジアミン(diamine)と2種のフタル酸(phthalic acid)が入ったもので、PAより高い耐熱性、高温でより高い強度剛性高耐薬品性を持ちます。過酷な高温環境下でも使用可能であり、最近だと、変速機/冷却水系部品、エンジン廻り機構部品、油圧ピストン、シリンダ、モータエンドキャップに使用されています(GFRP化したもの)。ガラス転移温度(Tg)は160℃と高く、車載電子システム向けコネクター用途に使用されています。また、HEV用でハーネスコネクタ関連も使用が増加しています。

⑦ポリスルホン(PSU)

耐熱水性透明性などが高い材料です。電気的特性がよく、バッテリーキャップ、ヒューズ、イグニッション部品に使用されています。

⑧ポリエーテルスルホン(PES)


耐熱性耐薬品性に優れ、広い温度範囲(-100~180℃)での剛性寸法安定性を持ちます。また、高温での耐クリープ性耐ガソリンガソホールエンジンオイル性に優れています。ランプ周辺部際(リフレクター、レンズホルダー)、ヒューズケース、オイルポンプ、ギヤボックスのベアリングリテーナー、ブレーキシャフト用ブッシュ、キャブレター用コイルボビン、スラストワッシャー、オイルコントロールバルブ用スプル、ギアなどに使用されています。

終わりに

自動車部品に使われるスーパーエンジニアプラスチック樹脂の種類について、ご理解いただけましたでしょうか?プラスチックの種類にはそれぞれ特性があり、その特性を生かした製品を作るうえでお役立ちできれば幸いです。

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カケンバナー

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