目次
プラスチック樹脂の価格を決める要素
プラスチック樹脂メーカーにとって、特に頭を悩ませるのが「樹脂の原価」。この記事では、プラスチック樹脂の価格変化のメカニズムについて解説します。
石油価格
プラスチック樹脂は石油から精製された「ナフサ」が原料になっています。そのためプラスチック樹脂の価格は石油の価格と密接に関わっています。 ナフサとは、原油を異なる温度や圧力で蒸留・分離して得られる石油製品のひとつです。ナフサに多量のスチームを加えて熱分解することで、「エチレン・プロピレン(気体)」「ベンゼン(液体)」など、様々な石油化学製品の基礎原料が生成されます。
為替レート
プラスチックの原料として使う「ナフサ」ですが、日本は原油を輸入するとともに精製したナフサだけでは足りず、毎年ナフサも輸入しています。 この際、円高であれば輸入する際に有利ですが、円安であれば輸入する際に不利になります。
また、樹脂ペレットの輸入に関しても同じく円高か円安かで価格が変動します。 現在(2022年08月時点)は急激な円安・ドル高が進んでいるため、プラスチック樹脂の価格は上昇していく傾向になります。
プラスチック樹脂の節約
プラスチック樹脂の価格を左右する要素2つについてご理解いただけましたでしょうか? 続いては仕入れ先に価格交渉する以外にプラスチック樹脂をできるだけ節約する方法を解説します。
成形過程で生まれる無駄な樹脂を減らす
例えば、ランナーや捨てキャビなど、成形するうえでゴミになってしまう部分が出ないように金型の再検討を行う方法があります。
複雑な部品をなるべく1つの部品で成形できるようにするなど、設計部分で変更できるところがないか確認するのもおすすめです。
また、ブリッジなど射出成形の前過程で出てしまうものもできるだけ抑えるようにして、製品以外に使われる樹脂を減らすように意識しましょう。
成形時の樹脂の量を減らす
現在の射出成形の中に、窒素ガスを注入して中を空洞にし、成形の樹脂量を減らす方法「ガスインジェクション」という方法があります(詳しくは、こちらの記事をご覧ください)。
樹脂のリサイクルを行う
ランナー、捨てキャビ、ブリッジなど、製品以外に出てしまった樹脂を再利用して再び成形に使うことができます。この場合、粉砕したあとの粒度がそろっているかを確認する必要があります。粒度がバラバラだと射出成形時に溶けきれず、製品不良に繋がる恐れがあります。
最後に
プラスチック樹脂の価格を左右する2つの要素、並びに樹脂を節約する方法について、お分かりいただけましたでしょうか? 現在価格が高騰しているプラスチック樹脂ですが、これをきっかけに成形時の課題を洗い出す機会になれば幸いです。