身の回りにたくさんある合成樹脂とは?特徴と種類について詳しく解説

皆さん、合成樹脂という言葉を聞いたことありますでしょうか。
聞いたことがない方も多いと思いますが、プラスチックを思い浮かべていただくとイメージしやすいと思います。合成樹脂は製造業の業界では重要な要素であり、塗装で使用する塗料の中に含まれる不可欠な成分です。今回は塗料のなかの合成樹脂について説明させていただきます。

塗料の概要

まず初めに塗料とは、流動性を持ち被塗物を保護・美装または機能を付与するために、被塗物の表面に塗りつける材料のことをいいます。したがって、塗料は塗装において重要な役割を持ちます。塗料の性能によって塗膜の機能が決まり、製品の品質を左右します。つまり、向こう見ずに塗料を決定し、塗装を行えばよいというわけではございません。塗膜にどのような性能を付与したいのか、どのような外観にしたいのか考慮したうえで塗料を決定します。よって、塗料の知識を深めることで、所望する塗装を行うことができます。
塗料は水性塗料と油性塗料に分けられますが、環境への配慮から水性塗料のニーズが多くなっています。ですので、この記事では水性塗料に沿ってご説明させていただきます。

水性塗料の成分

水性塗料の成分は以下の2要素でそれぞれ大きく分類されます。

固形分

①樹脂・・・塗膜の機能を決めるメインの役割があります。
②顔料・・・塗料の色彩、増量、防錆の役割があります。
③硬化剤・・・塗料が固まるのを早める役割があります。
④添加物・・・より使いやすく、長持ちしやすく。美しく仕上げる役割があります。

揮発分

⑤溶剤、水・・固形分を溶かし、液体の状態にする役割があります。固形分が水に溶けることで塗料が完成します。

樹脂

それでは本題の樹脂の説明をしていきたいと思います。

塗料の中でなぜ樹脂をクローズアップするのかと言うと、樹脂が塗膜に性能を付与する一番重要な要素だからです。樹脂の理解を深めていただくことで、塗装の際の塗料選びの一助となればと思います。

樹脂とは

樹脂はもともと植物などから得られる自然由来の粘着性を持った物質のことを指していました。
しかし、化学の発展により人工的に合成樹脂が作られました。つまり、樹脂は自然由来の天然樹脂と人工的な合成樹脂に分けられます。塗料の材料である樹脂は合成樹脂であり、そして合成樹脂の中でも熱硬化性樹脂に分類されます。

合成樹脂の歴史

19世紀にポリスレチンやポリ塩化ビニルが発明され、それがプラスチック(合成樹脂)の起源だと言われています。1870年には世界初の熱可逆性樹脂のセルロイドが工業化され、合成樹脂産業が始まりました。1907年に動植物を原料としない世界初の人工的合成樹脂の開発され、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間に、様々な人工合成樹脂が発明されました。
そして、第二次世界大戦後、軍需品として利用されていたプラスチックや合成ゴムが一般市民の生活に登場しました。1955年には石油化学の発達により、コンビナートから発掘される石油原料の樹脂が製造されました。様々な合成樹脂が大量生産され、日用品や衣料などの生活用品へと利用されました。

熱硬化性樹脂とは

熱硬化性樹脂とは、加熱することで硬化する樹脂のことを言います。
一定温度までは溶けて液体状態になりますが、一定温度を超えると化学反応を起こし樹脂が急速に硬化します。一度硬化したものは、再加熱しても元の液体には戻りません。塗料の中の樹脂は熱硬化性樹脂になります。

熱硬化性樹脂のメリット・デメリット

熱硬化性樹脂のメリット

一度硬化した状態から熱を加えても溶けない性質を活かし、高温の環境で使用が想定される部分でのプラスチック化が可能になります。

熱硬化性樹脂のデメリット

再加熱を加えて溶かすことができないため、再利用することができません。

樹脂(熱硬化性樹脂)の種類・特徴

エポキシ樹脂

エポキシ樹脂は耐水性、耐薬品性、付着性に優れていますが、一方で耐候性が劣っています。またアルカリには強く、酸には弱いという性質を持っています。
高い電気絶縁性を持つことから、エレクトロニクス産業で必須の樹脂です。また高い防食性も特徴であり、カチオン電着塗装にはエポキシ樹脂が使用されることが多いです。その美しい透明感の見た目から成型品の材料としても使用されます。そして、清潔に保ちやすいという特徴から、化学工場や搾乳所、食品加工工場や病院の手術室などの塗装にも使用されます。

アクリル樹脂

アクリル樹脂は耐候性、耐水性、耐薬品性に優れています。切断、曲げなどの加工の自由度が高い樹脂であることから、窓材や照明器具などの建材、電子部品、道路標識などの産業用資材、車輛用の部品、インキや絵の具など、日用品から特殊な用途まで様々なシーンで活用されます。戦闘機の風よけに利用されたことが始まりであり、そこから派生して現在では航空機の窓に利用されるようになりました。光沢のある無色透明の特徴と水圧の強いことから、水族館の水槽に利用されています。

ウレタン樹脂

ウレタン樹脂を含有する塗料では、光沢が出て、高級感のある仕上がりになります。また弾性に優れているため、塗装面にひび割れが起きにくくなります。業者も扱いやすい樹脂であり、汎用性が非常に高いです。耐候性に優れているため、屋外で使用される被塗物に使われやすい樹脂となります。大規模修繕工事の際、屋上、共用階段、バルコニーなど、防水機能が必要な場所に使用されます。

最後に

今回は合成樹脂について説明させていただきました。
詳しく説明させていただきましたが、樹脂の種類によって特徴も異なります。どのような塗装したいかで使用する塗料、すなわち樹脂の種類が重要となってきます。塗膜の性能が決まる樹脂の理解が深まれば、ニーズにあった塗装を行えると思います。
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